歩行が難しくなってきた方にとって車椅子は必要な福祉用具となります。
購入すると高額になってしまいますが、介護保険を使って格安でレンタルできることをご存じですか??
「ケアマネ!私は一生、車いすとベッドがないと生活ができないし、レンタルだと月々の費用がかかるでしょ?何歳まで生きれるかわからないけど、長くずっと費用がかかるくらいなら、いっそうのこと購入してしまった方が安くなるんじゃないの?」
そこで、この記事では車椅子はレンタルを例に出し、レンタルと購入のどちらがお得なのかを解説していきます。
それぞれのメリットも紹介していくので、ご参考になりましたら幸いです。
目次
福祉用具(車いす)について
福祉用具のレンタルサービスって何なの?
まず初めに介護保険を使った福祉用具のレンタルサービスについて紹介していきます。
これは、介護保険の認定を受けた方が利用できる制度です。
介護保険の認定には、以下の段階があり市町村から認定を受けた方が「介護保険」の制度を使用することができます。
このサービスは福祉用具を格安でレンタルできるサービスで、たとえば負担割合1割の方であれば、月額3,000円でレンタルされている車椅子を月額300円でレンタルできます。9割が介護保険での負担となります。
なんでも自由にレンタルできるわけではなく、ケアマネージャーやレンタル業者などと話を行い決めていきます。
また、車椅子の場合は基本的に要介護2~5でなければレンタルできません。
その他、細かいルールがあるので、気になる方は担当のケアマネージャーに相談してみましょう。
金額のみで計算した場合はレンタルと購入のどちらがお得?
まず、価格の面で比較していきます。
レンタルは介護保険を適用し、1割負担の場合の価格とします。
車椅子は、通常の車椅子は基本的にそのまま購入することになるので、定価で比較します。
今回は「アルミ製自走用車いす AR200B」を例にあげて比較してみます。肘掛けの跳ね上げや足置きの取り外しといった機能はありませんが、コンパクトで軽く使いやすい車椅子です。
購入した場合、定価で6万5,000円(非課税)となります。そして、レンタルした場合は、業者によって価格は異なりますが平均は月額280円です。
そのため、購入した場合、レンタルした場合に対して元が取れるのは65,000÷280=230ヶ月(約19年)後となります。
230ヶ月以上同じ車椅子を使い続けるというのは、あまり現実的ではないかもしれません。よって、価格面で考えるとレンタルしたほうがお得と考えて良いと思います
標準的な車椅子の場合、レンタル料は3,000円~6,000円/月くらいなので、自己負担は300円~600円ほど。
購入となると、一般的なタイプで3~15万円のものが多いようです。
1ヵ月300円でレンタルした場合は、1年で3,600円、5年で1万8,000円。
1ヵ月600円の場合には、5年間で3万6,000円です。
レンタルのほうがお得ですね。
価格だけでは比較できない部分もあります。
次では、価格以外の面で比較していきましょう。
価格面以外で比較してみた
アフターサービス
車椅子をはじめとして、福祉用具は定期的なメンテナンスが必要です。それはレンタルでも購入でも変わりません。
車椅子の場合、数年使うとどこかに必ず不具合が出てきます!
よくあるのが「ブレーキのききが悪くなる」「パーツがとれてしまった」などです。パンクすることもあります。
購入した場合、保証期間を過ぎるとメンテナンスや修理は有料となってしまいます。
しかし、レンタルの場合は保証期間というものがありません。不具合があった場合はすぐに無料で修理してもらえます。
レンタルしている福祉用具業者に電話をすれば、すぐに駆けつけて下さいます!!
ほんといつも感謝です。
また、半年に1回は定期点検やメンテナンスもしてくれるので、安全に使い続けることが可能です。
車椅子の交換が必要になった場合
高齢者の体は変化が起きやすく、同じ車椅子を使い続けられるとは限りません。
たとえば、シンプルな車椅子を使っていた方が姿勢を維持して座り続けられなくなった場合、その車椅子を使うのは難しくなります。この場合はリクライニング機能がついた高性能車椅子への交換を進めることが多いです。
実際に、シンプルな車いすをレンタルしていても、数年後には介護度が上がり、リクライニングタイプに変更した方は、かなり居られます。
環境の変化もありえます。たとえば、「車椅子を車に出し入れする回数が増えてきたので、もっと軽い車椅子にしたい」といった要望が出てくる……といったケースもあります。
このように、同じ車椅子をずっと使い続けていける保証はありません。
いわゆる「元が取れる」時期が来る前に、違う車椅子への交換を迫られることが来る可能性があるのです。
そうした場合、レンタルであればすぐに違う車椅子に交換できます。相談すれば、体調や環境に合った車椅子を提案してもらえます。
レンタルのメリット、デメリット
レンタル商品のメリット
- 必要なときに必要なものだけ借りれていらなくなれば返せる
- その時の状態によって商品を交換、追加できる
- 初期費用がかからない。または、安い
- 介護保険適用の商品は通常レンタル料の1割で借りる事が出来る
- 故障時等のメンテナンスを無料で任せられる
- 無料相談ができる
レンタル商品のデメリット
- 新品であることが少ない
- 自分の所有物にはならない
- 利用規約がある
- サービス担当者会議に定期的に参加する必要がある
購入のメリット、デメリット
購入する場合のメリット
新品で手に入る
レンタルの車椅子は、基本的には誰かが使ったものを洗浄・消毒したものです。そのため、「いくら消毒してあっても、ほかの人が使った車椅子は使いたくない」という人は使いづらいかもしれません。
手続きがいらない
介護保険で福祉用具をレンタルをする際には、手続きが必要です。基本的な手順は、次のようになります。
- 介護保険の認定を受ける
- ケアマネージャーに相談
- 福祉用具業者を紹介してもらう
- 福祉用具業者に自宅に来てもらい、車椅子を選定する
- 業者と契約し、車椅子を納品してもらう
- その後、定期的に業者に来てもらい、メンテナンスなどをしてもらう
また、介護保険のサービスを利用すると、定期的に「サービス担当者会議」という会議に参加しなければいけません。
利用者、家族様とケアマネージャー、サービスを提供している業者が話し合いをする会議です。基本的には自宅でおこなう会議ですが、これを面倒に思う人もいるでしょう。
購入する場合のデメリット
- 不要になった場合の処分に困る。処分費用がかかる。
- 身体状況が変化しても商品は交換できない
- 初期費用が高い
- 介護保険制度などの助成を受けにくい
- メンテナンスに手間がかかる
まとめ
車椅子はレンタルしたほうがお得になることが圧倒的に多いです。
また、定期的なメンテナンスをしてもらえる、すぐに違う車椅子に交換できるといったメリットもあります。
車いすだけではなく、特殊寝台(ベッド)に関しても同じことが言えます。
高齢になると身体状況、状態はあっという間に変化していきます。柔軟に対応していけるほうが賢い選択だと感じます。
この記事が参考になれば幸いです。